不動産を相続した場合には、亡くなった人から相続人へと登記上の名義を書き換える名義変更の手続きが必要となります。
名義変更を放置するデメリットとして、さらなる相続の発生で手続きが困難になったり、他の相続人が相続持分を売却してしまうリスクがありますので、もしも自分で手続きができるのであれば、早めに行動することがたいせつです。
相続不動産の名義変更を自分でする場合の手続きや費用
相続不動産の名義変更を自分でする場合の手続きですが、まずは該当する不動産物件の登記申請書と添付書面を作成し、不動産所在地を管轄する法務局の窓口に申請します。管轄法務局については法務局のホームページで調べることができますが、本局ではなく小地域ごとに置かれた支局で対応していることもあります。
書類の申請は窓口のほか、郵送やオンラインでも受け付けでいます。オンライン申請の場合は法務省のホームページから専用ソフトをあらかじめダウンロードしておくことが必要です。この申請にあたっての添付書類は、遺言書がある場合と遺言書のない場合とで異なります。
相続登記の費用としては、登記申請時に収入印紙などで支払う登録免許税、添付書類となる戸籍謄本や除籍謄本、住民票の写し、固定資産税評価額証明書などの交付手数料があります。
特に遺言書のない場合よりも、遺言書がある場合のほうが、添付書類が複雑になりやすいので、自分で名義変更をする場合には注意しておいたほうがよいでしょう。
遺言書がある場合と遺言書のない場合とでは違いがある
遺言書がある場合と遺言書のない場合とでは、相続不動産の名義変更をする上での手続きの流れに違いがありますので、しっかりと確認しておくのがよいでしょう。遺言書ない場合は最初に法定相続人全員が集まって遺産分割協議と呼ばれる会議を開き、そのなかで誰がどのような遺産を受け継ぐのかを明らかにしておきます。
会議の結果は遺産分割協議書として文書にまとめ、他の法定相続人全員の署名と実印の押印をもらった上で、戸籍謄本や印鑑登録証明書もあわせて受け取っておきます。これらの書類は自分で名義変更をする際に法務局に提出する添付書類の一部になります。
ほかに亡くなった人の出生から死亡までがわかる戸籍謄本や除籍謄本と住民票の除票、不動産を相続する人の住民票を用意して、登記申請書とともに法務局に提出します。いっぽうで遺言書がある場合には、家庭裁判所に遺言書を持ち込んで検認を受け、検認調書を作成してもらいます。
検認調書と亡くなった人の戸籍謄本・住民票の除票、不動産を相続する人の戸籍謄本・住民票は登記申請書の添付書類となります。また遺言書で遺言執行者が選任されていない場合には、裁判所で遺言執行者の選任審判を受け、審判書の謄本をあわせて添付します。
このような複雑な手続きを考えると、名義変更を放置するデメリットは大きいため、なにはともあれ行動に移すことが重要です。
相続不動産の名義変更は自分でもできる
相続不動産の名義変更は、一般には司法書士などの専門家に報酬を支払って依頼しますが、もちろん自分ですることも可能です。この場合には遺言書の有無で手続きの内容や費用が変わることがあります。名義変更を放置するデメリットは大きいため、準備ができたら早めに済ませておきましょう。