マンションは相続して終了というわけではありません。名義変更をしなければなりませんし、書類の準備にかかる費用・登記申請にかかる費用（登録免許税）・専門家への報酬など、様々な費用もかかります。名義変更を放置しておくとトラブルの原因になるので、費用相場と共に確認しておく必要があります。
マンションの相続登記にかかる費用の相場
まず書類の準備にかかる費用ですが、役所で取得する書類の費用相場は5,000円から15,000円程度です。当然ですが、相続人の人数・被相続人の転籍の回数・市区町村の手数料など、それぞれのケースによって異なります。遺産分割協議書や相続関係説明図の作成を依頼すると、別途費用がかかります。
次に登記申請にかかる費用（登録免許税）に関しては、「固定資産税評価額×0.4%」という計算式で求められます。ただし、遺言によって相続人以外の者が受け継ぐ場合は「固定資産税評価額×2%」です。固定資産税評価額は1,000円未満を切り捨てますが、1,000円未満は1,000円として計算します。
同様に登録免許税が1,000円未満の場合は、納税額は1,000円となります。そして専門家に手続きの代行を依頼する場合は、専門家への報酬が必要です。司法書士に依頼をすることが多く、報酬は6万円から10万円程度が相場となっています。
名義変更を放置しておくリスクとは
名義変更を放置しておくと、様々なトラブルが発生します。最大のリスクは、相続人が多数になり時間や費用がより多くかかってしまうことです。また、相続関係が複雑になると遺産分割協議がしづらくなり、親族間のトラブルに発展する可能性があります。
さらに名義変更をしていないと、マンションの売却ができなかったり、借り入れの際にマンションを担保として設定することができません。しかも他の相続人が借金の支払いを滞らせていると、債権者にマンションの相続持分を差し押さえられてしまう危険性もあります。
他にも名義変更の放置は、空き家問題の原因の一つにもなっており、まちづくりなどの公共事業の妨げの原因ともいえます。
こうした昨今の事情を鑑み、2021年4月21日に、所有者不明土地問題に関する改正不動産登記法などの関連法案が参院本会議で可決されました。相続登記が義務化されることにより、名義変更の重要性はますます高まっています。
費用相場を把握して迅速に名義変更を行う
マンションの相続における名義変更は、時間との戦いでもあります。書類の準備にかかる費用・登記申請にかかる費用（登録免許税）・専門家への報酬といった、手続きに必要な費用の相場を正しく理解し、迅速に名義変更を行うことが重要です。この迅速さにより、トラブルを回避できるのです。